先週開かれた、調達価格等算定委員会 (再エネ事業者が固唾を吞んで見守る重要な会議) がちょっとした話題になっている。
来年度以降、小形風力についてFITの対象から外そうとする、厳しい意見が出ている。
調達価格等算定委員会(第35回)‐配布資料(METI/経済産業省)
現在、小型風力発電の買取価格は55円/kWhとなっており、コストデータは想定値どおりで低減傾向にない。また、海外では大型と同区分の買取価格設定となっているか、小型区分を設定している場合でもその価格は安い(10円台~30円/kWh)ことを踏まえると、日本の買取価格・発電コストは高止まりしている。
認定データ及び費用負担調整機関に報告された発電電力量から、FIT制度の下で稼働している設備利用率を分析すると、中央値は7.6%であり、想定値(16.7%)と比べても著しく低い。(なお、直近(2015年以降)に運転開始した案件を見ても、設備利用率は低い(中央値9.9%)。)実績の利用率を想定して投資回収可能な調達価格を機械的に算出すると120円/kWh程度となる。
以上のことから、前々回の委員会における事業者ヒアリングを踏まえ、仮に発電コストを2030年までに30円/kWh以下の水準まで低減させることが可能であるとしても、現在の電力市場価格を考慮すると、一般的な用途としては、FIT制度からの自立化は困難と考えられるのではないか。
委員会での事業者ヒアリングとFIT制度の趣旨を踏まえると、自家消費や防災用、離島等での活用といった特殊用途としてFIT制度外で進めていくことに意義はあるが、FIT制度からの自立化が困難な小型風力発電については、55円/kWhといった高価格での新規認定を行い続けることは適当とはいえないのではないか。他方、20kW以上の風力発電と同じ買取区分でコスト効率的に事業を実施する案件については、20kW以上の風力発電と同区分として取り扱うこととしてはどうか。
一言でまとめると「コストが高止まりしてるから、どうしてもやりたい人は大型風力と同じ覚悟でやって下さい」ということである。PDF内の設備利用率のデータを見ると回らない風車が多いことに驚くが、なかなかパンチの効いた提言である。
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